2022年8月22日月曜日

書評:アラン・テイラー著、橋川健竜訳『先住民vs帝国 興亡のアメリカ史ー北米大陸をめぐるグローバル・ヒストリー』

 『西洋史学』273号(2022)にアラン・テイラー著、橋川健竜訳『先住民vs帝国 興亡のアメリカ史ー北米大陸をめぐるグローバル・ヒストリー』(ミネルヴァ書房、2020年)の書評を書きました。思い切った訳のタイトルにしたと思いますが(原題はAmerican Colonies:A Short Introduction)、内容の広がりと現在の学会の動向をとらえた意義あるタイトルかと思います。それにしても『西洋史学』の今号の書評の充実っぷりはすごい。。

興味のある人はコメントください。PDFをお送りします。

(森)


2 件のコメント:

  1. 遅ればせながら拝読させていただきました。テイラーの著作の紹介であると同時に、書評自体が近年の初期アメリカの研究動向のすぐれた解説になっているものと読みました。特に、後半のホデノショニやチェロキーに関するご説明は大変勉強になる内容で、テイラー本を補って余りある内容とお見受けしました。最後のご批判を読んで考えさせられたのは、概説や通史のレベルで「広大な初期アメリカ世界」をどこまで拡張して描くべきなのか、既存のナラティブとどこまでバランスを保って叙述できるものなのか、という点です。限られた紙幅の中でニューイングランドの歴史を記述する際、どこまでをピューリタンに割き、どこまでをWampanoagやAbenakiに割くか、というのはなかなか難しい判断を迫られるところだと思いました。(もちろん、後戻りはできないのですが。)

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  2. コメントありがとうございます!すごく参考になります。
    >概説や通史のレベルで「広大な初期アメリカ世界」をどこまで拡張して描くべきなのか、既存のナラティブとどこまでバランスを保って叙述できるものなのか、という点です。
    これは本当に大変で、私たちがやっている『はじめて学ぶ』の叙述でもすごく悩みました。かつて日本語で書かれた概説を見て、ほとんど書かれていない先住民を入れなければと意気込んだのですが、他方で、アメリカの発展はしっかり書かないといけないし。その点、書評でも触れたリクターのBefore Revolutionは素晴らしくて、先住民、植民地人、帝国、全部を一つのストーリーに組み込んでいて、超人技です。あれのShort Introductionがあれば訳します。われわれは、400ページをこえる概説は書けないので、みんながいろんなタイプの初期アメリカの概説を書くべきかと思っています。そこで今度の初期アメリカの論集では、イギリス人ー先住民関係の概説を書くことにしました。

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