2023年4月4日火曜日

史料:The William Blathwayt papers, 1661-1722

 久しぶりの更新です。検索していたらかなり貴重な史料がオンライン化されていたのを発見したので、掲載します。表題にも載せたWilliam Blathwayt papersは、17世紀末から18世紀にかけてのイギリス領植民地からの本国政府への報告を大量に所蔵しています。

Blathwaytは1686年から枢密院の通商外交委員会の書記secretaryを務め、人事の差配を含め、実質的に植民地行政を牛耳った人物です。この時代のイギリス政府内には、植民地の事情を知る人物はほとんどおらず、Blathwaytは名誉革命後も失脚することなく、植民地行政において大きな影響力を発揮し続けます(ちなみに同じことは、革命で倒されたジェイムズ治世下の全ての植民地官僚についても言えていて、ボストンやNYでは多くの役人が植民地人によって逮捕されることは概説に載っていますが、ほとんど他の植民地で官僚に復職しています。マサチューセッツで憎まれたアンドロスはヴァジニアの総督になっています)。その結果として帝国の行政文書の多くが、彼の個人資産として所蔵されたわけです。

この一連の文書は、マイクロとしては各地の文書館に所蔵されていましたが(洋書屋でも販売)、Family Searchでデータ化されています。登録すれば無料なので、こんなありがたいことはありません。https://www.familysearch.org/search/catalog/502462?availability=Family%20History%20Library

17世紀末から18世紀初頭の植民地行政や植民地内の政治、帝国論などに興味ある方には非常に役に立つでしょう。各巻の大まかなインデックスは以下ですが、より細かい内容については、1巻の後ろに目次があるので、それを参照してください。

https://ead.lib.virginia.edu/vivaxtf/view?docId=cw/viwc00271.xml

オンライン史料はすごい状況になっているようです。Family Searchだけでも以前マイクロになっていたものは、オンライン化されているようです。発見次第できるだけ掲載していきます。